3回例会200535日(土)

 受付開始  13:00

 報        告  13:3016:30

 会場:東京大学(正門から入って直進し右手)法文二号館一番大教室

 ☆交通アクセス:南北線東大前駅、丸の内線・大江戸線本郷三丁目駅

 地下鉄を使って正門に出るのが一番便利

発表


1張家山漢簡のいわゆる「史律」中の踐更に關する規定について

報告者:廣瀬薫雄氏(東京大学大学院生)

司会者:籾山明氏

趣旨:
張家山漢簡『二年律令』474486號簡は、主として史・卜・祝の
試驗・任用に關する規定を集めたものであり、内容の關連性・連續
性から見て、これら一群の規定が同一の律に屬していたことは疑いを
容れない。そして整理小組はそれを「史律」(487號簡)に同定してい
る。
 本律には、史・卜・祝の試驗・任用に關する規定のほか、踐更に關
する規定も何條かあり、しかもそれは史・卜・祝のみならず他の官吏
の踐更に關しても定めている。踐更とは、平たく言えば、交代で一定
期間勞役に服することであるが、これまでそれは一般人民の義務と考
えられてきた。しかし『二年律令』が官吏についても踐更の義務を定め
ていたことから、從來の見解は見直す必要があると思う。
 本報告では、『二年律令』中の踐更に關する規定を解釋し、それを
もとに漢初の踐更制度について考察を試みる。

2「張家山漢簡にみる秦制改定の痕跡

告者:石岡浩(明治大学講師)

司会者:籾山明氏

趣旨:
 現在、張家山漢墓竹簡の正式報告書が公刊され、247号墓から出土した
前漢呂后二年(前186)年までの法制文書---二年律令・奏wpe2.jpg (904 バイト)書の検討
が進められている。この資料に、先に出土した戦国秦の睡虎地秦簡、統
一秦の龍崗秦簡をあわせて、戦国末期から前漢初年までの諸制度の比
較が可能になったことの意義は計り知れない。そこで本報告では、張家
山漢簡と睡虎地秦簡の比較から、盗律の改革と刑罰・爵制度の変化をと
りあげて、前漢王朝の継承した秦制にいかなる改定が加えられたのかを
検討する。そして史書の伝える前漢高祖時代の状況から、秦制改定の時
期と原因を推測したうえで、文帝以降の制度改革は「秦の酷法を除去する」
のみではなく、じつは高祖時代の改定を「撤回・修正」する施策ではなかっ
たかという試案を述べてみたい。

3中国古代における盟書遺物の考察

報告者:呂静氏 (中国 復旦大学與博物館学系 専任講師)

司会者:工藤元男氏

趣旨:

  盟誓は、文明未開の社會から生じた集團間或いは個人間のコンミュニケーション手段であり、汎世界的な事象である。古代中國も例外なく、盟誓が古くからあったのであろう。特に、春秋時期には盟誓が社會秩序を維持する主流的な手段として、國の間から國内まで社會のあらゆる面で用いられた。これは世界文明史にはあまり見えない現象である。そして、古代中國の盟誓は、盟辭を文書化した、つまり盟書が殘されたことも一つの特徴といえる。1965年中國山西省侯馬市、1979年河南省温縣2ヶ所で春秋晩期晉國の一万數千點盟書が發見されて以來、中國古代の盟書について、世界から注目され、研究ブームになった。しかし、これらの研究は晉國の盟書遺物に限られている。周知のように、古代中國の盟誓は春秋時代全盛期に達した後、社會の激しい變動につれ、盟誓の秩序維持する機能がだんだん低下した。しかし、それが社會秩序を維持には主流な手段にならなくても、集團間或いは個人間の關係を調節の手段として使われている。本報告では、出土資料と文獻の調査に基づいて歴代盟書遺物の収集・整理をほどこし、特にこれまで言及されていない春秋以前の盟誓記録の状況、さらには戰國・秦漢以後の盟誓及び盟書について論じたい。

   ☆参加費(資料代を含む)500円 

  ☆非会員の来聴を歓迎します。